書評:伊勢田哲治『動物からの倫理学入門』。動物倫理を考える必読の倫理学入門書。

動物愛護に興味が無くてもおすすめ

最終更新日:2017年8月16日

倫理学の入門書です。

動物の倫理の本として

倫理学のいろはを説明するために、動物に関わる倫理的な問題をからめていきます。

「なぜ、動物は殺してもいいのか」
「動物と人間の違いは」
  • ・動物解放論
  • ・種差別
  • ・進化生物学
  • ・メタ倫理学
  • ・動物実験
  • ・菜食主義
  • ・野生動物
  • ・往復均衡法

動物について何か関わる方、
あるいは、動物愛護や菜食主義には根拠がないカルト宗教のようなものだと思っている方。
動物に関わるさまざまなことを、感情ではなく理論で、科学として考察していきます。

動物の権利や福祉についての古典といってもいい、ピーター・シンガーの『動物の解放』『実践の倫理』も必読書ですが、本書『動物からの倫理学入門』は、日本人の著者であり年齢も若い方で非常に読みやすい。

学術の入門書は読みにくいことが多いですが、文章も上手く非常に読みやすいです。
著者は京都大学の伊勢田哲治さんは『疑似科学と科学の哲学』が主著である科学哲学・倫理学者です。
ちなみに、菜食主義者ではないようです。

「文献案内もかねた文献表」もついており、ここから芋づる式に深めていくことができます。
動物について考えたい人が最初に手に取る本として。

倫理学入門書として

倫理学の入門書ですが、法哲学や政治哲学の入門書としても優秀です。
功利主義やリバタリアン、リベラリズムなどの「現代正義論」についても詳しく解説されています。
シンガーの選考功利主義、ロールズ正義論、アマルティア・センの潜在能力説、正義論の分野のホットな話題も説明されています。
倫理学の入門書として、メタ倫理学や帰結主義の説明ももちろんあります。

すらすら読めますが、倫理・哲学などをまったく勉強されたことがない方は少し苦労するかもしれません。
読みやすいとはいえ、学術書ですから。
そのような方は、 「マンガで学ぶ動物倫理: わたしたちは動物とどうつきあえばよいのか」がおすすめです。

コメント(0)

  • ※コメント確認画面はありません。
  • ※コメント投稿後は再読み込みをしてください。
CLOSE ×