【書評レビュー】ホセ・ヨンパルト『法の世界と人間』

「Today is the first day of the rest of your life」

最終更新日:2017年9月11日

上智大学の名誉教授、故ホセ・ヨンパルト教授の学者人生の集大成。

自然法について考えたいなら手に取るべき本

ホセ・ヨンパルト『法の世界と人間』成文堂、2000年

私の評価 ★★★★★
ページ数 374頁
著者・編者 ホセ・ヨンパルト著
出版社 成文堂
出版年 2000年3月
出版社ページ 成文堂 書籍詳細ページ
目次

1. 法学・法哲学という学問
① 法の研究
② 法、法学、法学者と法学部
③ 法における最も難しくかつ最も重要な問題
④ 日本から見た世界の現代法哲学・法理論の分裂とその原因
⑤ 多文化主義に求められる法秩序と人間)

2. 法と国家と人間に関する基本問題
① 「人間の尊厳」思想の沿革とその実定化
② 「人間の尊厳」と「個人の尊重」
③ 「個人」と「社会」と「国家」―欧米と日本では同じか
④ 人間の尊厳と人権
⑤ 良心の自由とその法的な保障 ほか)
⑥ 「人間の尊厳」と「生命の尊重」
⑦ 「人間の尊厳」、「生命の尊重」と死刑制度
⑧ 人間と国家
⑨ 法の目的と法の機能ーその区別から出される理論的・実践的結論
⑩ 実定法に内在する自然法

あとがき

価格 6,480円

「Today is the first day of the rest of your life」

「あとがき」に書いてある言葉で、ヨンパルト教授が上智大学に入学した1年制に必ず言っていた言葉だそうです。
当たり前のことなのですが、ハッとさせられる言葉です。

ヨンパルト教授はカトリック司祭の資格を持ちながら、日本の上智大学で長年にわたり教鞭を取った法哲学の研究者です。
特に、自然法の研究者として著名。

あとがきにて「大学教授を定年退職するに及んで、そろそろ本書をもって区切りをつけてもよいのではないかと考えている」とあるように、ヨンパルト教授の集大成のような本です。
ホセ・ヨンパルト教授の理論は、ときにカトリシズムが強すぎて好きではないときもありますが、本書は心地よい読後感がありました。
学術書で、心地よい読後感というのもおかしいですが、生命と法と、なにより人間を見つめ続けた研究者の人柄が伝わってくるような感じがしました。

「自然法」の第一人者が自然法についてわかりやすく説明している本です。
最後のほうに「自然法論に関する21命題」が掲載してあり、その中に「法学上の自然法(論)と倫理学上の自然法(論)は区別されるべきものである。(370頁)」とあり、当たり前のことなんですが、時に混同していた自分に気づくことができました。

自然法論と法実証主義についてもわかりやすく、
「実定法のみが法であり、そしてすべての実定法は法である。」この主張を認める学説が法実証主義であり、これを認めない学説が自然法論であるということができる。325頁」と簡潔に示しています。

法哲学について、法哲学と法社会学について、相対主義、道徳と法、システム理論、非認知主義、目的と機能、法実証主義と自然法論、人間の尊厳、国家など、法哲学に関わる諸命題について言及しています。
法哲学の入門書ではありませんし、入門用として読むには適していませんが、法に関わるさまざまな事柄に興味がある方や、自然法についてよりよく知りたい方に特におすすめです。

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