電通 インターネット広告業界の闇 不正請求と過労自殺

電通インターネット広告部門の不祥事2件

最終更新日:2017年5月9日

電通のインターネット広告部門でおきた取り返しのつかない事件が、立て続けに報道されました。
広告費不正請求と過労自殺。

【日本経済新聞 9月23日】電通、2億円過大請求 ネット広告に冷や水も  

【日本経済新聞 10月7日】電通女性社員の自殺は労災 三田労基署、残業倍増を認定

 

過労自殺

電通は1991年にも過労が原因の自殺が大きな問題となりました。
 平成12年3月24日 最高裁第2小法廷判決 民集 第54巻3号1155頁
大阪過労死問題連絡会 電通事件最高裁判決(最高裁第2小法廷平成12年3月24日判決) 


私も電通出身の仲間とお仕事をしていますし、電通とお仕事をしたこともあります。
みなさんとても優秀な方が揃っていますが、過酷な状況のお話を聞くこともあります。
過労で倒れて退職した友人もいます。

電通以上に過酷な職場環境はいくらでもありますが、だからといって電通の罪が軽くなるわけではありません。
しかも今回が初めてではない。
さらに、信じられないことに新卒入社の新入社員です(1991年事件も新入社員でした)。
亡くなったのが昨年の12月。
研修があるはずですから、実際に業務についていたのは半年くらいではないでしょうか。

直前一ヶ月の時間外労働が105時間、31時間連続勤務した日もあり、過酷な状況であったことがわかります。

厚生労働省の基準では、

時間外労働45時間以上が危険ライン
80〜100時間は危険水準としています。
また、発症前の1ヶ月以内に100時間以上ある場合は、特に危険性が高いと判断されています。


過労死等防止対策白書 2016年 
によれば、

>1か月の時間外労働時間が最も長かった正規雇用従業員(フルタイム)
>の月間時間外労働時間の企業の割合について、月 80 時間超えと回答した企業の割合は、全体
>で 22.7%、業種別にみると「情報通信業」(44.4%)

と、80時間超えの事業所は決して珍しくない。
情報通信業に限っては、ほぼ半数の事業所が該当しています。

また、鬱病などの労災申請は

2000年度 212件 未遂を含む自殺の労災認定 19件
2015年度 1,515件 未遂を含む自殺の労災認定 93件

となっており、大きな社会問題となっていることがわかります。

1ヶ月の労働時間を単純に計算すると、20日×8時間=160時間が、残業無しで基準となります。
これに、80時間残業が加わると、240時間の労働です。

私もこれ以上働いたことはありますが、過労で体調が非常に悪化します。
医師にも過労と診断されたことが2回あります。
たとえ鬱にならなくても、「このままだと倒れる。死ぬかも。」という危機感を感じます。

これは、今回悲しい思いをされたご遺族や関係者だけの問題ではなく、社会全体の問題です。
電通の責任をしっかりと追及し、このような悲劇が二度とおこらないように社会の声を高めること。

そして、今現在も苦しんでいる人がたくさんいるわけで、そのような仲間や知人がいたら見て見ぬふりをしないなど、ひとりひとりの心がけで改善出来る部分もあると思います。

今回は残業だけではなく、パワハラがあったことも指摘されています。
パワハラをしている人は、自覚が無い場合も多いと思います。
私自身も含め、自分の普段の言動を客観的にみつめ、今回の事件をしっかりと自分の頭で考えてみることが必要です。

広告費不正請求

電通の同じ部門が、2億円の不正請求をしていたことが明らかになりました。
インターネット業界に関わるすべての人にとって、とても衝撃的な事件です。

例えば、このサイトにもGoogle アドセンス広告を掲載しています。
これはクリック数に応じて報酬額が決まります。
また、アフィリエイトなどは、成果に応じて報酬が決まります。
このクリック数や成果は、一般ユーザーの側では知るすべがありません。
Googleや電通、アフィリエイト業者側の報告を信じるしかないのです。
ある意味「信頼」のみで結ばれた関係だともいえます。
「おかしい」と思っても、データはすべて相手側にあり、一般ユーザー立証することはほぼ不可能です。

問題になった広告費の不正請求も、発見するのは非常に困難です。
現在の高度な広告は、ある特定の条件にマッチした場合にのみ表示されます。
例えば、「平日深夜にインターネットをしていて、ブランドもののネットショップをよく見ている東北地方の30代女性」だけに表示する、といったことが出来ます。
実際に広告が表示されたのかどうかをユーザー側が知るのは非常に困難です。
これも、信じるしかない。
今回不正に気づいたTOYOTAさんはさすがです。

このような不正がおきても、一般ユーザー側は相変わらず信じ続けるしかありません。
不正をおこした業者を利用しないことで意思を表すことはできますが、事実上の寡占状態となっており、業者の選択肢は多くありません。

電通グループは、広告業界の市場シェアで文句なしの日本一、世界でも5位に位置する巨大グループです。
そのグループでこのような不祥事が連続して起きるということは、まだまだ日本の企業倫理が非常に低いレベルにあるというしかありません。

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