2017年最新版 日本ホームレスの高齢化と20年間の推移

厚生労働省のホームレス調査20年の結果からみえるホームレスの現状

最終更新日:2017年9月20日

厚生労働省は、およそ5年ごとにホームレスの現状を全国調査している。
平成29年9月19日厚生労働省は、最新の調査結果を公表した。
2016年10月におこなわれた調査の報告である。

この記事では、平成29年最新調査結果の概要と、平成15年・平成19年・平成24年に公表された調査結果をみることにより、日本ホームレスの状況がどのように変わっているのか、あるいは変わっていないのかを考察する。

まず全体をみてみると、ホームレス数は全国で6,235名
一番多いのは大阪で1,497名
次に東京23区で1,319名となっている。

ただし、ホームレス数の調査方法は日中に担当者目視によるカウントをおこなっている。
このため、昼間外出している者やネットカフェ難民・貧困ビジネスのハウス、一時避難シェルター等にいる実質ホームレスはカウントされていない。
実態をあらわした数値とは言い難く、NPOの調査では少なくても約2.5倍はいる、としている。

※ホームレス関連の資料について、別記ない限り「厚生労働省 ホームレス実態調査(平成15年版、平成19年版、平成24年版、平成29年版)」による。

ホームレスの現状概要(2017年公表)

調査対象は公園や河川等で生活している、いわゆるホームレスを対象とした個別面接による。
2016年調査では、1,435人から回答を得た。

ホームレスの平均年齢:61.5歳(5年間で2.2歳上昇)
高齢者率(65歳以上の割合)は 42.8% である。
一方、日本総人口に占める高齢者率は27.3%(資料A)であり、ホームレスの高齢化が際立っている。

路上生活の期間10年以上の人の割合:34.6%(5年間で8.6ポイント上昇)
前回調査でもホームレスの長期化が目立っていたが、今回調査でさらに長期化していることがわかる。

男女構成:男性96.2%(5年間で0.7ポイント上昇)
ホームレスの男女構成について多きな変動はみられない。

生活している場所
生活している場所が定まっている者が77.5%(5年間で5.7ポイント減少)
聞き取り調査自体が「30名以上のホームレスが確認された場所」でおこなわれているため、この数値の信憑性は疑問が残る。

仕事をしている者は55.6%(5年間で4.8ポイント減少)
主な内容は廃品回収(70.8%)
平均収入は約3.8万円

路上生活前の職業
ホームレスになる前の職業は、建設関係がおよそ半数を占める。
「建設・採掘従業者」48.2%、「生産工程従事者」13.0%

雇用形態は正社員が40.4%、日雇いが26.7%となっている。

路上生活に至った理由
「仕事が減った」26.8%
「倒産や失業」26.1%
「人間関係」17.1%

健康状態
身体の不調を訴えている者:27.1%
このうち治療を受けていない者:60.9%

福祉制度の周知
・巡回相談員に会った:89.8%(+11.6)
 →相談した:46.9%(+8.4)
・シェルターを知っている:70.2%(+4.3)
 →利用したことがある:20.6%(+2.1)
・自立支援センターを知っている:73.2%(+8.5)
 →利用したことがある:15.1%(+4.8)
・生活保護を利用したことがある:32.9%(+7.6)

括弧内は前回調査からの変化。
福祉制度の認知・利用ともに高まっている。
利用率は低いながらも、5年間で向上している。

今後の生活について
・アパートに住み、就職して自活したい:21.7%
・アパートで福祉の支援を受けながら、軽い仕事をみつけたい:12.8%
・今のままでいい:35.3%

求職活動状況
・求職活動をしている:11.4%
・今も求職活動をしていないし、今後も求職活動をする予定はない:72.6%

ホームレスの状況20年間の推移

平成14年に成立した「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法」以降、各自治体でもホームレス支援政策が進んでおり、一定の効果も見て取れる。

表0:ホームレスの数(単位:人)
平成15年平成19年平成24年平成29年
20,661 25,296 10,890 6,235

ホームレスの年齢の推移

表1:年齢分布 (5歳ごとの有効%)
平成15年平成19年平成24年平成29年
19歳以下 0.0 0.0 0.0 0.0
20~24歳 0.1 0.1 0.2 0.1
25~29歳 0.5 0.4 0.5 0.5
30~34歳 1.3 1.0 0.5 1.3
35~39歳 2.6 2.9 2.5 1.5
40~44歳 4.8 4.1 5.2 3.4
45~49歳 9.9 6.5 6.6 5.5
50~54歳 22.0 15.9 10.9 9.0
55~59歳 23.4 26.8 18.3 13.0
60~64歳 20.3 21.2 25.7 22.9
65~69歳 10.5 13.6 16.6 23.1
70~74歳 3.5 4.8 8.6 13.6
75~79歳 0.9 2.0 3.2 4.6
80歳以上 0.2 0.6 1.1 1.5
34歳以下 1.9 1.5 1.2 1.9
40代 14.7 10.6 11.8 8.9
50代 45.4 42.7 29.2 22.0
60代 30.8 34.8 42.3 46.0
59歳以下 64.6 57.7 44.7 34.3
60歳以上 35.4 42.2 55.2 65.7
65歳以上 15.1 21.0 29.5 42.8

※図1:ホームレスの年齢分布図
図表をみて一目でわかるように、ホームレスの高齢化が進行している。
60歳以上をみてみると、20年前は35.4%であったのが、今回は65.7%となっている。

ホームレスの年数の推移

表2:今回の路上生活をするようになってからの期間(有効%)
平成15年平成19年平成24年平成29年
1年未満 30.8 22.9 20.1 22.2
1年~3年未満 25.6 16.8 17.7 12.2
3年~5年未満 19.7 18.9 15.8 10.5
5年~10年未満 17.3 25.8 20.2 20.5
10年以上 6.7 15.6 26.0 34.6
1年未満 30.8 22.9 20.1 22.2
3年以上 43.7 60.3 62.0 65.6
表3:初めて路上生活をしたのは、どれくらい前ですか。(有効%)
平成15年平成19年平成24年平成29年
5年未満 63.1 40.7 36.2 22.0
5年~10年未満 22.1 30.7 22.8 21.9
10年~15年未満 8.3 17.5 23.8 23.7
15年~20年未満 2.4 4.7 8.7 14.3
20年以上 4.1 6.5 8.6 18.1
10年以上 14.8 28.7 41.1 56.1

※図2:今回の路上生活をするようになってからの期間※図3:初めて路上生活をしてからの期間
ホームレスになるのが初めてではなく、一度ホームレス状態を脱した後に再度ホームレス状態になっている者が多いことがわかる。
ホームレスの長期・高齢化が進んでおり、一度ホームレス状態になると抜け出すことが難しい。

ホームレスになった原因の推移

表4:今回の路上生活をするようになった主な理由。
(複数回答。数値はケース%)
平成15年平成19年平成24年平成29年
倒産や失業 32.9 26.6 27.1 26.1
仕事が減った 35.6 31.4 34.0 26.8
病気・けがや高齢で仕事ができなくなった 18.8 21.0 19.8 16.9
労働環境が劣悪なため、仕事を辞めた 5.0 6.1 5.0
人間関係がうまくいかなくて、仕事を辞めた 15.0 15.4 17.1
収入が減った 16.4
上記以外の理由で収入が減った 2.3 3.0 1.8
借金取立てにより家を出た 4.3 6.5 4.3 3.3
アパート等の家賃が払えなくなった 15.2 12.9 16.9 11.1
ローンが払えなくなった 2.3
契約期間満了で宿舎を出た 2.4 3.1 1.8
建て替え等による住宅の追い立てにあった 1.0
ホテル代、ドヤ代が払えなくなった 8.2 5.1 4.8 4.2
差し押さえによって立ち退きさせられた 0.6 0.7 0.1 0.4
病院や施設などから出た後行き先がなかった 1.9 2.4 2.7 1.7
家庭内のいざこざ 7.4 7.5 7.2 7.4
飲酒、ギャンブル 5.8 6.8 7.2 8.9
その他 19.3 17.8 19.6 16.7

ホームレスになった原因について、20年間で大きな違いはみられない。
病気・けがや高齢で仕事ができなくなった」はわずかながら減少しており、社会福祉政策の効果も一応みてとれる。

ホームレスの求職活動の推移

表5:現在、就職するための求職活動をしていますか?(数値はケース%)
平成15年平成19年平成24年平成29年
求職活動をしている 32.0 19.6 13.7 11.4
今は求職活動をしていないが、今後、求職活動をする予定である。 26.1 20.6 22.4 16.0
今も求職活動をしていないし、今後も求職活動をする予定はない。 42.0 59.8 63.9 72.6
表6:表5の「求職活動をしている」以外の回答者について、なぜ求職活動をしていないのですか?
(複数回答。数値はケース%)
平成15年平成19年平成24年平成29年
今の仕事で満足しているから 12.7 19.1 16.0 20.4
疾病、障害、病弱、高齢で働けないから 34.2 39.4 39.9 46.7
自分の希望する職業を探してもないと思うから 24.4 19.1 16.5 10.9
就職の際の身元保証人がいないと難しいと思うから 16.2 11.1 8.5
住居がないと採用されないと思うから 25.6 23.0 19.9
保証人や住民票がないと難しいと思うから 13.2
その他 22.1 23.8 21.8 18.8

60歳以上が約65%にのぼることを考えると、求職活動をしない72.6%は決して大きい数字ではないように思う。
この項目と平均年齢の推移は比例している。
求職活動をしない原因をみてみても「疾病、障害、病弱、高齢で働けないから」の項目は年齢に比例している。
ホームレス状態にないものでも、高齢者が求職活動をするのは厳しい現状がある。
今後のホームレス対策は、求職支援ではなく、働くことができない者への対応がより一層必要となる。

就職するためにホームレスが望む支援の推移

表7:就職するためにあたなが望む支援(複数回答、数値はケース%)
平成15年平成19年平成24年平成29年
もっと身近に就職の相談や求人情報をみられるようにしてほしい 21.8 25.2 22.6 21.4
職業訓練、職業講習を受けられるようにしてほしい 12.1 13.1 17.8 13.7
自分たちにあった仕事先を開拓してほしい 39.5 31.4 29.8 23.6
事業主のホームレスに対する理解を進めてほしい 19.6 21.3 20.2 14.5
就職の際の身元保証の援助をしてほしい 36.5 32 28.5
住所を設定する必要があるのでアパートがほしい 54.3 48.9 48.8
身元保証や住民票の設定を援助してほしい 31.8
その他 31.9 17.5 18.7 18.6

全体的に少しずつ下がってきており、支援を求める気持ちの低下もみてとれる。
長期間にわたる社会的排除により、「あきらめ」がより強くなっているようにも思う。

まとめ

前回調査でも見られた「ホームレスの高齢化・長期化」の傾向が、より一層強くなっている。
ホームレスの人数自体は順調に下がってきているが、長期化・高齢化は深刻であり、「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法」やさまざまな政策は、高齢化したホームレスにはあまり効果がなく、ホームレス状態の長期化に繋がっている。

ホームレスになる原因をひとことで言えば、社会的排除にある。
社会的排除とは「財や権限を既得する層・集団や国家権力が、特定の社会的カテゴリーを資格外とみなし財や権限から締め出すこと」(西澤晃彦・渋谷望『社会学をつかむ』(株式会社有斐閣、2008年、270頁)をいう。
厚生労働省によると、「ホームレスとなるに至った要因としては、主として就労する意欲はあるが仕事がなく失業状態にあること、医療や福祉等の援護が必要なこと、社会生活から逃避していることの三つ」があるとしている(「ホームレスの自立支援等に関する基本方針」平成20年7月31日 厚生労働省・国土交通省告示第1号)。

ホームレスの特徴をみてみる。

・高齢者(65歳以上が42.8%)
・男性(96.2%)
・単身者(既婚者:4.7%、離婚・死別:29.9%、未婚:65.5%)
・健康状態が悪い(26.9%)
・低学歴(中卒:50.1%、高卒:38%)
・家族と疎遠(連絡をとっていない:78.5%)

国民全体の未婚率は「2015年の国勢調査」によると「男性:23.37%、女性14.06%」となっており、ホームレスの未婚率が有意に高いことがわかる。
学歴は、「2010年の国勢調査」(学歴調査は10年に1度のため、2010年調査が最新)によると、高卒以下が46.5%と、ホームレスの高卒以下88.1%は明らかに高い。
すでにみたように、職業も建設関係が約半数と、ブルーカラーの職業であったことがわかる。
これらの特徴は、労働市場において価値が低いことをあらわしており、失業や倒産で職を失ったら再就職が難しく、結果的にホームレス状態になっていることがうかがえる。
また、家族に頼ることが出来ない・親族の支援を受けられない状況にあることもわかる。
アマルティア・センの言う「ケイパビリティ」の低かった者がホームレス状態となり、抜け出すことが出来ないことがみてとれる。

ホームレスの長期化・高齢化は、彼ら個人の問題ではなく社会の問題である。

脱ホームレス化した後に、社会復帰あるいは日常生活へと戻るためのネットワークが少ない。脱ホームレス化後の社会生活の維持、自立の維持に関して、これを支えるさまざまなつながりがない」(渡辺芳『自立の呪縛-ホームレス支援の社会学』株式会社新泉社、2010年、212頁)。

ホームレスとの関わり合いを避ける社会の態度は、ホームレスの人々の貧困がたんなる貧困でないことを暗示している。ホームレスは、食べるものや寝場所など生活資源が決定的に不足しているだけでなく、社会から、その関わり合いを拒まれているのである」(岩田正美『現代の貧困-ワーキングプア/ホームレス/生活保護』株式会社筑摩書房、2007年、120-121頁

他者との隔絶、孤立は、それ自体、ホームレスの人々の心に傷を与え、無力化させ、自己否定感情を呼び起こす。それゆえ、ホームレスの人々に単にモノとしての家を与えることでは、彼らの存在の条件を確保することにはならない」(笹沼弘志『ホームレスと自立/排除』株式会社大月書店、2008年、292頁)。

ホームレス対策は、ホームレスが自らの意思で安定した生活を営めるように支援することが重要となる。
家を与えることはもちろん重要であるが、それだけでは解決にならない。「カウンセリングや医療サーヴィス、職業訓練、友人のような立場で力を貸す事業等を含む」(アンソニー・ギデンス『社会学 第五版』有限会社而立書房、第五版、2009年、385頁)支援が必要であり、これらは、一部のNPO団体や行政による支援だけでは不可能である。

同じ社会に住む我々ひとりひとりが、どういう社会が望ましいと考えるか、真剣に考えていくことが重要である。

資料

厚生労働省「ホームレスの実態に関する全国調査報告書(平成29年9月)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177700.html

厚生労働省「ホームレスの実態に関する全国調査報告書(平成24年4月)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000029ag9.html

厚生労働省「ホームレスの実態に関する全国調査報告書(平成19年4月)
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2007/04/h0406-5.html

厚生労働省「ホームレスの実態に関する全国調査報告書(平成15年3月)
http://www.kobe-fuyu.sakura.ne.jp/gyousei-siryou/zenkoku_tyousa_houkokusho.PDF

資料A:平成29年版高齢社会白書
http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2017/gaiyou/pdf/1s1s.pdf

※図表は上記データより筆者作成

コメント(0)

  • ※コメント確認画面はありません。
  • ※コメント投稿後は再読み込みをしてください。
CLOSE ×