もし労働債権の消滅時効まで5年になったら・・・

民法改正により短期消滅時効が一律5年に。もし労働法まで変わったら・・

最終更新日:2017年9月16日

民法改正により、職業別の短期消滅時効がなくなり、一律5年となりました。


でも、労働債権の消滅時効は特別法である労働法により、2年と決められています(労基法115条)。
もし労働債権の消滅時効まで5年になったら・・・

おそらく、未払い労働債権請求バブルとなります。
未払い賃金。
つまり、残業代が払われていないとか、深夜手当が出ていないとか。
残業代も深夜手当も、アルバイトでももちろん請求出来ます。
現行法では消滅時効が2年なので、2年前まで遡って請求できます。

例を挙げて簡単に計算してみましょう。

勤続6年のアルバイト従業員Aさんは、休憩時間を除いて週5で毎日10時間(2時間のサービス残業)働いていました。
時給は1,000円
アルバイトでも残業手当は請求出来ます。
残業手当は25%増しです(労働基準法第37条)。

毎日2時間の残業 = (時給1,000円 + 割り増し250円) × 2 = 2,500円
毎日2,500円の未払い賃金があります。
週5出勤なので1週間で12,500円
1年は52週ありますが年末等あるので50週として、1年で625,000円

現行法は2年で消滅時効になるので、2年分しか請求出来ません。
結果として、未払い残業代の請求額は1,250,000円(625,000*2)となります。
この訴訟を弁護士に頼んだとしたら、報酬を単純に2割と仮定して弁護士報酬が250,000円。
それほど美味しい案件とはいえないかもしれません。
※訴額が140万円以下なので簡易裁判所の管轄です。司法書士でも対応できます。
もし労働債権の消滅時効が5年になったら・・
625,000×5= 3,125,000円!
弁護士報酬は(同じく2割として)625,000円でかなり美味しいです。
本人も250万円もらえます。

これだけゲット(といっても本来貰えるはずなのに貰えなかった金額を取り返しただけですが)出来るなら、
「わかんない」「面倒くさい」なんて言わずに弁護士事務所に駆け込む人が増えるでしょう。
おそらく、ブラック零細企業はどんどん潰れます。
リスクが高すぎるので、サービス残業やらなんやらをする企業も減るでしょう。
(同じ理由で、1〜2年で首を切って入れ替える超絶ブラック企業も増えるでしょう)

時給1,000円でもこの金額です。
残業を除いた額面年収500万円の方の時給は2,500円を少し上回りますから、サービス残業代は上記の倍を超えます。

逆に言えば、今サービス残業をされている方は、これだけの金額損をしています。


日本の労働を変えた超有名な「日本マクドナルド割増賃金請求事件(東京地判 平成20年1月28日)」では最終的な750万円くらいの支払い命令が出ました。
もしこのとき消滅時効が5年で、5年まるまる請求出来ていたら・・

もし万が一消滅時効が5年になっても、そんなブラック企業で5年も我慢しちゃだめですけど。

個人的には、労働債権の消滅時効は、この先もずっと2年のままだと思います。


※利子等細かいものは計算していません。

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